途方もなく壮大な長江を遡る詩的なロードムービーである。男と女の謎めいた因果に最後まで引き込まれた。李 屏賓（リー・ピンビン）の流麗で幻想的な素晴らしい映像は奇跡としか言いようがない。
――行定勲（映画監督）

求めさえすれば
それぞれの答えが見つかり
魂が集まる場所へと心を導く。
冷気を纏い川を遡る船は時を刻み流れる景色は過去へ誘う
撮影の力に惹きつけられました。
――風吹ジュン（女優）

源流から海へと流れゆく長江という大河。遡る一隻の船が見た情景は、思索にふけるに相応しい時間と空間を私に与えてくれた。
――高木正勝（映像作家・音楽家）

急進する経済成長の背景にある闇の部分に問いを投げかけながら、美しい長江の景色と、大河の流れのなかに様々なメタファーが織り交ぜられている。
自分もまた、この川の上を漂っているような、静かに蠢きながら過ぎて行く時間の流れに身を預けている感覚を感じた。
――川内倫子（写真家）

ジャ・ジャンクー、ロウ・イエとの絆を示す中国第6世代の監督ヤン・チャオは、失われた恋人たちの物語の向こうに歴史と詩の心を象る長江、その流れをせき止める祖国の今を睨む眼をねじ込み魂の自由を深く瞑っ(ルビ：おも)ている。
――映画評論家／川口敦子

長江という中国の大河を人生と重ね合わせ、下流（過去）から遡るストーリー。長江には近年、三峡ダムという巨大ダムが誕生しその流れが一変した。大陸ならでは雄大な河川の姿を目に焼き付けてもらいたい。
――宮島 咲（ダムマニア&ダムライター）

この絶景に彩られた水上のロードムービーは、幻惑的で艶めかしいファムファタール映画でもある。忽然と消えては現れる愛の幻影にゆらゆらと導かれ、未知のスリルと陶酔に身を委ねるほかはない驚異の映画体験！
――映画ライター／高橋諭治

河岸に栄えては滅ぶ人間の数千年の歴史が、経済成長の墓標みたいな近未来型ダムによって瞬時に水没しても、なまめかしく悠然と河は流れる。老朽船が水源へと遡るにつれ、河の女も時を遡って恋の若気を取り戻す。五感が冴えてくる幽遠な映画旅！
――映画ライター　後藤岳史

人々の営み、長江、そして仏教のソネットが、観客に息もつかせぬほどソウルフルに、神秘的に描かれている。
――Huffington Post

物語の川岸に揺らぐ美しいロマンチシズム。中国の長江を巡る旅は、ベルリン国際映画祭コンペティションにおいて神秘的な詩となった。
――The Hollywood Reporter

※順不同・敬称略※